1960年代後半のリーバイス・ビッグE「タイプ物」について-1/2
501XX
501Big-E 1966頃~・ダブルネーム・タイプ物
501‐66 1973頃~・66E・66前期・66後期
501‐80 1980頃~
501‐87 1988頃~
501‐93 1994頃~2003
今回は、米国最終モデルの501レギュラーしか穿かないワタクシが、ヴィンテージ501の「ビッグE」の「タイプ物」について偉そうに講釈を垂れるという素晴らしい内容ですので、マニアの方々もそうでない方も是非イライラしながらお読み遊ばせ。
リーバイスのタイプ物とは?
リーバイスのヴィンテージジーンズ「ビッグE」モデル(時代でいうと1966~1973頃)の中に、「タイプ物」と呼ばれるモデルがございます。
なお、「ビッグE」、「タイプ物」という呼称、上に掲げている呼称もすべて、古着業界、マニアの中で使われているもので、リーバイス社の公式モデル名ではございませんのでお気をつけください。
(501‐87、501‐93に関しては、ワタクシしか使っていないと思われますが、そこはご容赦ください。80~90年代のモデルの呼称については、こちらをお読みくださいな。)
「タイプ物」とは、「S」「A」「F」「I」の4種類のアルファベットの内のどれか1つが、紙パッチのロット番号付近に追加で印刷・スタンプされたリーバイスのジーンズのことを指します。なお、このタイプ物ジーンズは、501だけでなく、502、505にも見られます。
(ジーンズ以外のパンツにも付けられていたと個人的には考えていますが、ジャケットやシャツには無かったようです。)
タイプ物が作られた時期は、ビッグEの時代「ダブルネーム」の後、66モデルの前の時期というのが一般的です。
●タイプ物についての詳細は、下記をご参照くださいませ。(ワタクシが説明するより早いので。単なる”ズクなし”とも言う。あっ、”ズクなし”とは信州の方言です。)
〇「私のリーバイス」の記事
☞ タイプ物タイプ表記についての考察
☞ 501 タイプ物についてのQ&A
☞ 501 タイプ物とは? ディテール・特徴について
〇「501XXは誰が作ったのか? 語られなかったリーバイス・ヒストリー (立東舎)」
☞ ラベルの不思議な暗号「A,S,F」の正体は?
〇「古着屋 SMILeY(スマイリー)」の記事
☞ リーバイス タイプ物
〇この業界では断トツの有名人でいらっしゃるベルベルジン藤原裕氏のYouTube
「S」「A」「F」「I」の意味するものとは?
①季節説
②工場番号説
③品質説(S=優、A=良、F=不可、I=不良…?)-長らく有力とされていた説
④品質検査識別コード説-「501XXは誰が作ったのか?」説
⑤出荷先説
さて、ここからが本題ですネ。
①季節説:論外。
②工場番号説:今日(こんにち)、ボタン裏の刻印が工場番号であることが100%確実ですから、②もハイ、消えた。(関口宏「クイズ100人に聞きました」調で。)
③品質説:ベルベルジンの藤原氏の言葉を借りましょう。上記で紹介した動画の2分30秒からをご覧くださいませ。
”「F」がB級品なんてありえない” ヴィンテージジーンズを目にした数ではトップクラスであろう藤原氏の言葉は重いと言わざるを得ないでしょう。ワタクシなんて片手で数えられるほどしか…。それに、リーバイス社と言えば、自社製品にかなりのプライドを持った会社です。赤タブやアーキュエイトステッチで自社製品を誇示し他社製品と差別化までして、その上ギャランティチケットなんて付けてジーンズを売る会社でございますよ。イレギュラー品をアウトレット価格で売るのはともかく、ジーンズという工業製品の不良品を「同じ値段で」売るなんて…ありえないと思うんです。(中島みゆき「あなたでなければ」調で。)ワタクシだったら、イヤ、怒るで、しかし。(横や…自粛。)
事実、先日50-70年代のボタン裏刻印の記事内で紹介したレポートには、こんな発言もあります。いわく、”製品に欠陥がある場合は、ラベルを剥がして、二級品(seconds)または規格外品(irregulars)を示す別のラベルを貼ります。顧客に対して誠実であることがわかっているいくつかの店舗にそれらの製品を販売していた。 それらの製品は規格外のラベルが貼られていて、3分の1か半額で売られていた。 ”
④品質検査識別コード説:そもそも品質検査なんてシチメンドクサイことをしていたのでしょうか。いや、してたでしょうと言われればグウの音も出ませんが。
当時どれだけのジーンズを生産していたのかご存知ですか、貴兄は?
ご存じない?実は、でございますが、我々の想像以上の膨大な数字なんでございます。
1965年10月4日付のウォールストリートジャーナル紙にはこんな記載があります。
”たいてい青色をしていて、3億もの足を持つものは何だ?
ギブアップ?
答えは、ブルージーンズ。今年、全米で1億5000万本の販売が見込まれている。”
もちろん、リーバイス社のシェアが100%なんてことはありませんが、それでも想像してくださいな、相当な数ですよ。1965年時点で。
当時の別の資料には、こんな記載もあります。”Levi Strauss & Co. は、今や世界最大のパンツメーカーであり、同社のアパレルは3万を超える小売業者によって販売されています。1970年度の世界全体での売上は総額3億2,700万ドルに達し、過去最高額を記録しました。”
返品されたジーンズの紙パッチのアルファベットを確認して、工場の改善状態をモニタリングしていたなんて非現実的な気がします。
いや、製造業界に身を置いたこともないワタクシが言うことですから、非常識とお叱りの言葉を頂くかもしれませんが、工場内の検品を厳格にすれば済む話しではないでしょうか。
⑤出荷先説:ワタクシが採るのは、この出荷先説です。
もっと突っ込んで言うなら、
S、A、F、Iの記号は、出荷先の配送センター(Distribution Center)の頭文字ではないでしょうか。(Iだけ違うけどネ。)
「S」=San Jose(CA)(当初San Franciscoと誤記していたのを訂正。)
「A」=Amarillo(TX)
「F」=Florence(KY)
「I」=Levi Strauss International
大変申し訳ございません、詳細な説明を追加するお時間が無くなってしまいました。
この続きは、また次の機会に…。
続きはこちら ☞ 1960年代後半のリーバイス・ビッグE「タイプ物」について-2/2
★ 1950年代~1970年代のリーバイス社の工場番号(ボタン裏刻印)&所在地(妄想感強め)
★ 1960年代後半のリーバイス・ビッグE「ダブルネーム]とは?