写真でみるリーバイス501レギュラー(39)ヴィンテージ501の定義は二つだけ?1980年サンノゼ工場製501
【80(ハチマル)モデル】
リーバイス「501」は、その長い歴史の中で常に変化し続けてきました。
LOT番号「501」はそのままに、形・生地・縫製・意匠、それらは時代によって全く異なります。
1980年代突入前夜、ヴィンテージ「501」愛好家にとって、どうしても許せなかった仕様の変更がありました。
リーバイス社は、「501」に使うデニム生地を「赤耳」(耳=セルビッジ)を持たない新型シャトル織機で織り上げた幅広デニムに変更したのです。また、生地の糸の染料や染色方法、紡績方法も変えていったと言われています。
この幅広デニムを採用した80年代~90年代の「501」は、「赤耳」を持たず、いわゆる「縦落ち」という色落ちをしないため、未だに一部の「ヴィンテージ501」愛好家からは蔑んだ目を向けられているような気がします。(被害妄想?)
「ヴィンテージ501」と呼べるのは、縦落ちする「1973‐501(66前期)」まで、収縮率8%の「1976‐501(66後期)」まで、収縮率は10%だがセルビッジを持つ最後の501である「1980‐501RedLine(赤耳)」までと主張する「愛好家」の意見を耳に、また目にすることがあります。
デニム生地こそがジーンズの価値を決める最大の要素であり、ヴィンテージかどうかを決定づける基準だというのです。
「価値」って何かね?
「501」における「ヴィンテージ」の定義って何かね?
相変わらずの前置きの長さに辟易としたところで、今回の「501」を見てみましょう。
状態はあまりよろしくないようですし、お値段もワタクシの見立てよりも随分と高かったので、正直、ポチっとするか大いに迷ったことを思い出します。それでも1万円以下のお値段だったのですが、根がケチなもので。
まさに先ほど語ったような、ザ・80年代の「501」といった色落ちです。
なんちゅうか、本中華、この色落ちがイイのですよ。
ワタクシ、もちろんヴィンテージの色落ちや縦落ちも大好きなんですが、この時代のあまりメリハリのない気取らない自然な色落ちが好きなんですね。
「Care~」入りの紙パッチは、まだまだ現役で幅広デニムの右腰に張り付いております。
内タグ表記載の収縮率は「8%」、W28はオッサンの腰には相性が悪うございました。
内タグ裏には、LOT番号「501」に「3 80 2」の記載。
1980年3月「2」番サンノゼ工場製の「501」ということがわかります。
バックポケットのバータックは黒糸で裏から仕込まれており、ポケット自体は丁度良い塩梅の高さですね。
(追記:あらためて見ると、このバックポケットって、「505」っぽくない?)
赤タブはスモールe、インシームはシングルステッチ仕様。
アウトシームの当たりも結構出ています。
先人の愛好家たちの知見によれば、内タグに記載の生地の収縮率は、1976‐501(66後期)までが「8%」、1980‐501(赤耳、脇割)から「10%」と言われています。
工場番号は、1976‐501(66後期)までが「一桁数字」、1980‐501(赤耳、脇割)から「三桁数字」とのことです。
その法則に従うなら、「収縮率8%」「2」番サンノゼ工場のこの「501」は1976‐501(66後期)でしょうか?
1976‐501(66後期)の条件は、もう一つ、「赤耳」であることです。
どうしたことでしょうか。
この「501」には赤耳が張り付いておりません。
白糸でロックされた幅広デニムが使用されているようです。
愛好家の皆様方は、ここから議論が盛り上がるわけです。
この「501」を「1976‐501(66後期)」に分類するのか、それとも「1980‐501(レギュラー)」なのかと。
収縮率を重視するのか、赤耳の存在を重視するのかによって結論が変わりそうですが、多分、1980‐501(レギュラー)に落ち着くでしょう。
だって、やっぱり愛好家の皆様方の赤耳信仰は、決して揺らぐことのないもののようですから。
ワタクシは別にどっちでも良いんですがネ。後から外野が決めた分類に収まらないモノがあるのは当然でしょう。
赤耳があるかないかとか、色落ちがどうとかは、個人の趣味嗜好の問題ですから、ワタクシは何も言うべきことはございませんが、「ヴィンテージ501」の定義に、赤耳の有無とか生地の色落ち特性なぞは入れるべきではないと思うのです。
「ヴィンテージ501」の「価値」とは、あくまでも市場で取引された場合(売るとしたら幾らの値がつくか)の「流通価格」です。
「流通価格」がほとんど付かないとしても、着用可能な服飾品としての「物としての価値」がありますが、「ヴィンテージ501」の「価値」としての「価値」とは、市場の需要と供給で決まる「流通価格」を指します。
「流通価格」とは一線を画す、個人的な価値観や思い入れに基づく「プライスレス価格」というのもありましょうが、それはそれとしてご自分の胸の内で大事していただいて結構です。
同じ価値観や思い入れ(赤耳の有無とか色落ちの仕方だとか)を持つ購買者が多ければ、その価値観が表現された「501」は人気となり、「流通価格」は上がることになります。
「流通価格」が決まる過程では、価値観や思い入れ(赤耳の有無とか色落ちの仕方だとか)といった個人の主観が大きく影響し得ますが、結果としての「流通価格」とは客観的なもので、そこに主観的要素を入れ込む余地はありません。
同様に、「ヴィンテージ501」における「ヴィンテージ」の定義からも主観的要素を排除する方が、皆さんが幸せになることでしょう。
「ヴィンテージ」とは、赤耳の有無とか色落ちの仕方だとか(しつこい!)、そういう主観的要素に左右されるものは一切抜きにして、「製造からの年数」だけで決まるものでいいじゃないですか。
年代によって違う「萌えポイント」が多くの人の共感を呼べば、その「501」は、結局値段が上がる(評価が高い)のですから、赤耳がとか色落ちがとか言う方にも納得いただけるでしょう。
問題なのは、その具体的な製造からの年数です。
ずばり、「25」年でどうでしょうか。
1995年古着ブーム時だと、その25年前の「1966‐501(ビッグE)」以前のものがヴィンテージ扱い。
2025年には、「1993‐501(米国最終)」(~2002)のほぼ全てがヴィンテージ扱いとなるわけです。
「25」年というのは、キリも良し、耳障りも良し、結構いい落としどころだと思うのです。
「ヴィンテージ」の定義を製造から25年とすると、「ヴィンテージ501」は、時代とともに増えていくことになります。
だからといって、愛好家の皆様が「TrueVintage」として崇める70年代以前の「501」は決してその「価値」を下げることはないでしょう。(そもそも供給も少ない。)
また、ワタクシのような80年代~90年代「501」が好きな変態愛好家が少なければ、今後その「501」は高値になることはないでしょう。(そもそも供給も多い。)
さらに、「ヴィンテージ501」の定義が確かでシンプルなものになることによって、「501」の分類が明確になるし、古着屋さんも売りやすくなるのではないでしょうか。(もちろんフリマとかの個人間でも。)
そして一番重要なのが、将来の「ヴィンテージ501」愛好家(今は初心者)にとって、この「ヴィンテージ501」沼に浸かりやすくなることです。
将来の「ヴィンテージ501」愛好家こそが、「流通価格」を左右する「需要」ですから。
最後に、皆さん、復唱をお願いします。
柴剣的「ヴィンテージ501」の定義は二つだけ
一つ:リーバイス501であること
二つ:製造から25年以上であること
以上
※異論、反論、お待ちしております。
※のサイトでは、1980年頃から2003年米国自社工場閉鎖までの米国製Levi’s501を、下記の3つのモデルに大きく分類しています。
「80」(ハチマル)80年頃~87年頃 紙パッチのCare~文字が黒スタンプ(このサイトでは「赤耳」もこの区分です。)
「87」(ハチナナ)88年頃~93年頃 紙パッチの501の文字が赤字且つロゴタグ(87赤文字と記述することが多い。)
「93」(キューサン)94年頃~03年 紙パッチの501の文字が黒太字且つ刺繍タグ(93米国最終と記述することが多い。)
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