リーバイス501とコーン・ミルズ【5】硫黄・空紡糸・スルザー織機とセルビッジ復活とLVC

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※この記事は、「INVENTORY」(VOLUME04 NUMBER08 SPRING-SUMMER 2013)の Paul Trynka氏の「CONE MILLS: THE HOME OF AMERICAN DENIM 」記事、から一部引用して修正・加筆したものです。


1960年代初頭、コーンミルズ社製のデニムは全盛期を迎えました。革新的な「マグナドラフト」紡績技術と、伝統的な「ドレイパー織機」が織りなす独特の風合い。それを備えたリーバイス501は、イギリスのモッズや米国のサイケデリックな若者たちの象徴となりました。この「マグナドラフト・ルック」は、クラシック・デニムの最後にして最高の到達点といえるでしょう。1960年代の熱狂が終焉を迎えたように、デニムのクラシック時代もまた、幕を閉じようとしていました。

1973年から74年にかけてのオイルショックは、大きな転換点となりました。経済的な需要の変化に加え、合成インディゴの原料である石油価格が急騰。さらに、極端に色落ちさせたウォッシュドデニムの流行を受け、1978年にはコストを抑えるために染料へ「硫黄」が導入されました。価格引き下げの圧力が高まる中、501の緯糸(よこいと)には効率的なオープンエンド紡績(空紡糸)が採用され、織機もまた高速な「スルザー織機」へと置き換わっていきました。1985年にスルザー織機が完全導入されると、それまで稼働していた464台の「ドレイパーX2」織機のほとんどが中古業者へスクラップとして売却されました。それらの多くは部品を剥ぎ取られ、畑の片隅で錆びついてしまいましたが、一部の「ドレイパーX3」は、ホワイトオーク工場の隣にあるプロキシミティ工場にひっそりと保管されていました。

新しいリーバイスがかつての風合いを失っていく中、デニム愛好家たちはその変化に気づき始めました。クラシックな幅狭のシャトル織機、リング紡績、そしてセルビッジ(赤耳)を備えたリーバイスを復活させるというアイデアを考案したのは、リーバイス・ジャパンのスタッフでした。彼らは1987年、古い豊田(トヨダ)自動織機を保有する「カイハラ」の生地を使用し、ジッパーフライの「502」を日本で縫製・復活させました。コーン・ミルズ社に再びセルビッジデニムを生産させるよう働きかけたのも日本人であり、その中心人物はコーン・ミルズ社日本代表の「スギヤマ・ヒデアキ」氏でした。

1993年、コーン・ミルズ社はついにプロキシミティ工場から12台の「ドレイパーX3」織機を引っ張り出し、再稼働に向けたテストを開始します。 ジグソーパズルのいくつかのピースはシンプルで、紡績機械のほとんどは60年代に近いものが残っていました。他のピースは難しく、「ドレイパーX3」織機はもともと広幅の生地向けに設計されていたため、伝統的な29インチ幅に合うよう改造が必要でした。さらにホワイトオーク工場の「古い桜材の床」が、織機の振動を吸収し、独特の風合いを生むための重要なピースであったことが判明しました。
こうして誕生した最初の製品は、リーバイスの『Capital E』の復刻モデルでした。一部のディテールには妥協が見られたものの、素材そのものは優れた、豪華な箱入りのヴィンテージレプリカでした。 その後、1996年までに欧州と日本のリーバイス従業員チームがより正確な再発行プログラム「LVC(リーバイス・ヴィンテージ・クロージング)」を立ち上げ、ヴィンテージ・スタイルのデニムは世界中へ急速に広がっていきました。1997年には、需要に応えるためさらに20台の「ドレイパーX3」織機が戦列に復帰しました。

この時期、世界最大のデニム生産者であったコーン・ミルズ社の経営は、厳しいものでした。2003年には連邦破産法第11条(チャプター11)を申請。その後、WLロス・アンド・カンパニーに買収され、バーリントン・インダストリーズと合併することになります。 大衆向けの製品がコスト競争にさらされる一方で、シャトル織機による製品は常に安定した需要を保ち続けました。特にリーバイスが、コーン・ミルズがXX(XXX)デニムを他社に販売することに合意したことが、その後の大きな支えとなりました。
しかし、ホワイトオーク工場は、市場の変化に対応できず、2017年12月31日をもって閉鎖されました。閉鎖により米国製のセルビッジデニム生産は幕を下ろし、以降の生産はメキシコや中国へ移行しました。


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Posted by shiba-ken