1980年代中頃リーバイス501の「未解読の不明タグ」解明への挑戦と挫折
0.序
2024年夏季パリオリンピックが終わった。
オリンピック開催に合わせてこの記事を仕上げるつもりが、気が付けば、もうワールドシリーズ(MLB)。
2024年10月24日の東京の日中最高気温は26℃を超えた。
季節はまだ夏みたいなものだから、まあヨシとしよう。(なにが?)
1980年代から1990年代のリーバイス501には、時代ごとに5種類の内タグが存在する。
その内タグには、LOT番号、工場番号、製造年月などが記録されている。
5種類の内タグの中にただ一つ、いまだに製造年月の数字を特定できていない「未解読の不明タグ」(以下、「不明タグ」という。)が存在することをご存知だろうか。
本ブログ内での解読失敗の挫折に涙した忌まわしい記事は、こちらに今もひっそりと眠っている。
この記事は、この「不明タグ」の解明に奮闘したひとりの男の挑戦と挫折の記録である。
(BGMは、Bonnie Tyler – Holding Out For A Hero でおなしゃす。)
1.「不明タグ」が使われた年代
写真上の左から2番目②不明タグは、①初期縦折タグと③正方形タグの間の時代に来ることが、それぞれの時代の「501」の特徴から判断できる。
1980年代初めの「501」における縫製方法の変化の注目すべきポイントは2点。
バックポケット上部左右のバータック(補強のかんぬき)とインシーム(股下から裾へと繋がる脚の内側の縫い合わせ)。
ごく簡単に言うと、バータック:黒糸⇒オレンジ糸/インシーム:シングルステッチ⇒ダブルステッチと変化。
2点の組み合わせから、②不明タグが付いた「501」は、①と③の間に位置することが推測できる。
工場番号 | ①初期縦折タグの最終年月 | ③正方形タグの初出現年月 |
501 | - | 86.1 |
515 | - | 86.2 |
520 | - | 86.5 |
522 | 84.3 | 86.3 |
524 | 84.7 | 85.11 |
525 | 84.6 | 86.4 |
532 | 85.10 | 86.5 |
544 | - | 87.11 |
546 | - | 86.2 |
553 | 84.2 | 86.2 |
555 | 86.2 | 87.11 |
558 | 83.1 | - |
571 | 85.8 | 85.12 |
653 | 84.3 | 85.12 |
上に掲げた表は、各工場で作られた「501」のうち、①タグの付いた一番遅い年月のものと③タグが最初に出現した年月とを抽出したものである。(ワタクシ調べ)
この表から、①タグと③タグの間に空白の時間があることが証明され、②不明タグを用いた年代は、①と③の間、1984年頃から1985年頃(遅くとも1986年前半まで)と推定される。
2.「不明タグ」に記載された数字のデータ
下記の表は、不明タグをもつ「501」等をネット上で虱潰しに探して、そのタグ上の数字等をまとめたものである。
(無許可でアナタの「501」等の内タグの数字も載せているかもしれませんが、大目に見てやってください。)
不明タグに記載された数字のデータを収集するには、困難を極めた。
そもそもの個体数が(①初期タグと③正方形タグの501に比して)少ないうえに、内タグが破損しやすく、残っていても印字が見えなくなってしまった個体が多いのだ。
さらにデータ収集に困難を極めた最大の理由は、ワタクシのカラダである。
長年の過酷労働?と趣味活動により酷使されたニクタイは悲鳴をあげ続けて、いまや1時間も同一の体勢を保つことすら困難になっている。(同情は要らん、金をくれ。)
⑴ | ⑵ | ⑶ | ⑷ | ⑸Lot | ⑹Plant | ⑺ | ⑻ | ⑼ | ⑽W | ⑾L | 備考 |
80151 | 4 | 33973 | * | 15010117 | 520 | 152 | 46 | 06 | 32 | 38 | |
98485 | 4 | 11901 | C | 501 | 522 | 552 | 39 | 34 | 30 | 34 | |
90185 | 4 | 831 | C | 501 | 524 | 834 | ** | 01 | 29 | 36 | |
* | 4 | 66** | C | 501 | 524 | 344 | 3* | ** | 30 | 32 | |
57978 | 4 | 932 | C | 25010117 | 524 | 745 | 10 | 29 | 31 | 40 | 1982 |
57970 | 4 | 933 | C | 25010117 | 524 | 744 | 36 | 29 | 31 | 40 | 1982 |
46725 | 4 | 9220 | C | 25010117 | 524 | 442 | 21 | 23 | 31 | 40 | 1982 |
51266 | 4 | 13230 | C | 15010117 | 524 | 541 | 19 | 36 | 38 | 38 | 1982 |
83834 | 4 | 850 | C | 35010117 | 524 | 252 | 32 | 10 | 60 | 30 | |
36008 | 4 | 1614 | C | 501 | 524 | 851 | 59 | 02 | 28 | 36 | |
53118 | 4 | 14121 | C | 501 | 525 | 541 | 29 | 12 | 33 | 34 | |
69081 | 5 | 1576 | D | 205170217 | 542 | 932 | 41 | 39 | 28 | 30 | |
48703 | 5 | 11432 | T | 5050217 | 552 | 442 | 30 | 39 | 35 | 32 | |
63275 | 5 | 23169 | T | 5050217 | 552 | 844 | 45 | 32 | 30 | 29 | |
41027 | 4 | 4919 | T | 205170217 | 585 | 341 | 29 | 09 | 31 | 32 | |
91919 | 4 | 7329 | C | 501 | 653 | 355 | 24 | 62 | 29 | 33 | |
22359 | 4 | 13724 | 501 | 653 | 552 | 22 | 14 | 32 | 30 |
3.解明?挫折?
さて、この不明タグに製造年月が記載されていると仮定して、どの数列がそれに該当するのだろうか。
ネット上で、⑻もしくは⑼の数字をもって製造年月とする説明を見かけるが、こうしてデータを取ってみると、そこに一定の法則は見出し難い。(つまり、間違い。)
上記1で述べたように、不明タグが使われたのが1984年から1985年であるならば、「4」「5」の数字を探し出すのが良さそうだ。
⑵列の一桁数字である「4」「5」は、①初期縦折タグ時代にも確認できる数字なので除外できる。(と思う。)
そうであるならば、消去法の結果、⑺列しかないというのが結論だ。
⑺列の3桁数字の真ん中の数字に注目してほしい。
表の上から、「5,5,3,4,4,4,4,4,5,5,4,3,4,4,4,5,5 」何だか1983年、1984年、1985年のソレっぽく見えないだろうか。
いやいや、「月」の数字はどこに行ったん?
ハイ、全くもって「月」はどこへ行ったんでしょうか。
ワタクシにも皆目見当もつきません。
ところで(一旦、話しを逸らす…)、上の表のグレーの2行分に注目願います。
実はこの2つの個体、昨年の今頃にヤ〇フオクに出品されていたデッドストックもの(同一出品者)で、どう見ても兄弟個体(連番か、連番に近い個体)なのだ。
この兄弟個体2つを比較しても、製造年月が記載されていると仮定するならば、⑺列の数字しかあり得ないように思える。
なお、備考欄に「1982」とあるのは、フラッシャーに記載されたコピーライト年である。
1982年の次は1984年で、実際に1984年版フラッシャーが付属するにはタイムラグがあるので、1984年製造の「501」に1982年版フラッシャーが付属することはありえる。
⑺の3ケタ数字の真ん中の数字が、「年」を表しているのはないか?
残念ながら、ワタクシが今語れるのは、それだけだ。
この不明タグが約1年の短命に終わったこと、
1984年にロサンゼルス夏季オリンピックが開催され、同年2月のサラエボ冬季オリンピックとともに米国選手団のユニフォームを一手に引き受けたのがリーバイス社だったこと、
そんな事実がこの内タグにどう関係しているのか、関係していないかは、ワタクシにはわからない。
2028年の夏季オリンピックの開催地は、ロサンゼルス。
その時までに、この不明タグの解明は進むのか?
それは、アナタとワタクシの頭脳次第です。
アナタのご意見お待ちしております。
完
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