リーバイス「16」「E」「6」「524」エルパソ工場にまつわるアレやコレや

40~50年代リーバイス501のリベット裏とトップボタン裏に刻まれた「16」の数字

60年代リーバイス501のトップボタン裏に刻まれた「E」の文字

70年代リーバイス501のトップボタン裏に刻まれた「6」の数字

80年代リーバイス501のトップボタン裏に刻まれた「524」の数字

これらは、いずれもテキサス州エルパソの工場を表わしています。

「E」と「6」刻印のボタンが、「6」と「524」刻印のボタンが混在している501が何本も見つかっていることから、”「E」「6」「524」は同一のエルパソ工場である”というのが2025年現在の通説といっていいでしょう。

(「16」に関しては、70年代の「16」Baldwyn工場-Lucky Star Industries-と混同しないようご注意を ☞ ヴィンテージリーバイス「16刻印」の謎の真相に迫る!16番工場は二つ存在した!

このエルパソ工場にまつわる謎などを解明していこうというのが今回の記事の主題でございます。

とは言え、相変わらずのワタクシの勝手な妄想中心の内容であることを初めに注記しておきます。

エルパソ工場の謎とは、「E」=「6」=「524」が通説なのに、1966~67年頃から「6」と「524」が同時期に並行して使われていることです。

上の表を見てわかるように、1947年、リーバイス社は6番目の工場としてエルパソの地を選択しました。

このエルパソ工場(「16」工場)は、新規に0から開設したのではなく、Top-Notch Manufacturing Co.という会社と提携した外注工場でした。

その根拠は、、「ヴィンテージリーバイス「16刻印」の謎の真相に迫る!16番工場は二つ存在した!」でも紹介した「El Paso Herald-Post」紙1955年4月23日の記事です。

The Top-Notch Manufacturing Co. は、2 つの工場でブルーデニムのリーバイスオーバーオールを製造しています。工場は、サウスカンザスストリート301番地と400番地にあります。 1947 年以来 Levi-Strauss Co. と提携しています。同社は300人の従業員を雇用し、年間給与550,000ドルです。
1850年以来リーバイスを製造しているリーバイ・ストラウス社はエルパソにいくつかの小売店を持っていますが、トップノッチ社はその製品の大部分を西部諸州の小売店に出荷しています。

「E」工場は、アルファベット刻印になるまでは隠しリベット裏やトップボタン裏に「16」刻印を使用していたと推測できるので、上記の通説に「16」も付け加えれば、「16」「E」「6」「524」は同一のエルパソ工場ということになります。

エルパソ工場で作られた501のボタン裏の刻印は、47年~50年代「16」・60年代「E」、70年代「6」、80~90年代「524」と変遷したということです。

一方で70505ジャケットでは、1966~67年頃に「524」という刻印を持つボタンが出現しています。

「6」=「524」なのに、1966年頃から1970年代において、501は「6」、70505は「524」の刻印を使用しているのです。

つまり、ここでも述べましたが、「6」≠「524」の可能性があるのではないでしょうか。

「16」工場は1947年にリーバイス社と提携を開始したことは上述のとおりですが、その後「E」を使い、1967年の新コンピュータシステム導入時に「6」を使用することになります。

このTop-Notch Manufacturing社の「16」「E」「6」工場の所在地は、新聞記事のとおり、エルパソのSouth Kansas street 301番地と400番地です。

1966年8月9日の連邦官報に記載されたTop-Notch Manufacturing社の所在地は、エルパソのCypress avenue 2101番地。

1966年、リーバイス社は「E(6)」工場とは別の自社工場をエルパソの地に開設しました。

1966年操業のこの新工場こそが「524」工場だと思われます。

いくつかの資料から、524MはCypress plantと呼ばれ、1966年操業開始だということがわかっているからです。

この新工場の所在地は、エルパソのCypress avenue 2101番地。

Top-Notch Manufacturing社本社敷地内にこの524新工場を建設したのでしょうか。

「6」工場がTop-Notchの本社Cypress avenueとは別にKansas streetにあったとすれば、「524」工場とは物理的に離れて存在していたことが分かります。

ということは、70年代において、501は「6」工場で、70505は「524」工場という別々の工場で作られていたことになります。

70505のボタン裏の記事で触れたとおり、この「524」という数字は「52」と関連性があってOberman Manufacturing Co.が何らかの鍵を握っているのではないかと見ていますが、今のところ不明です。

ところで、ワタクシは最近、非常に興味深い情報を見つけました。

2000年5月4日付けのリーバイス社による証券取引委員会への「1933年証券法に基づくS-4登録届出書」内のセクション23の記述です。

セクション23 OBERMAN MANUFACTURING COMPANY、TOP-NOTCH MANUFACTURING COMPANY, INCORPORATED、および MILLER BELTS LTD., INC. の従業員に対する特別勤務規定
セクション 2.9 および 2.58 でそれぞれ定義されている福利厚生および勤務に加えて、福利厚生および勤務には、1966 年 6 月 1 日以降に始まり、LS&CO. によるこれらの事業体の買収日以前に終了した Oberman Manufacturing Company または Top-Notch Manufacturing Company, Incorporated での継続雇用の全年数および月数も含まれます。また、LS&CO. の本社給与等級 12 以上に相当する給与が支払われ、LS&CO. 本社給与に移行したことにより、1977 年 11 月 28 日以前に従業員となった者も含まれます。

リーバイス社による、Oberman Manufacturing Co.とTop-Notch Manufacturing Co.の買収が完了したのは、1966年6月1日。

ObermanとTop-Notchが消滅してLEVI STRAUSS & CO.に移行したのは、1977年11月28日。(グーグル先生の翻訳によれば、このように読める。)

なんと、70年代の「6」工場も外注工場だったのです。

正確に言えば、70年代の「6」工場は、子会社の工場だった。(「52」もしくは「527」も。)

ここからは、ワタクシの推測ですが(これまでもほとんど推測ですけどね)、1977年Top-Notch社の消滅より少し前の時期に「6」工場は閉鎖され、「524」工場へと業務が引き継がれたのではないでしょうか。

Top-Notch社の「6」工場では501のバックポケット上部の裏はシングルステッチで縫製していたけれど、「524」本社工場ではチェーンステッチ縫製に変更となった。

まあ、リーバイスおたくの単なる考えすぎでしょう。

リーバイスは調べれば調べるほど謎が深まるのでホドホドが肝心です。

(今後、適宜加筆修正予定です。他に情報、ご意見ある方のタレコミお待ちしております。)

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Posted by shiba-ken