写真でみるリーバイスORG-1976‐501(66後期)改-ダブルエックス・ビッグE・66・赤耳なんて呼ぶのはやめませんか?

2024-10-05

 

1990年代及び新型コロナウイルスによる自粛生活を発端とする2020年代の古着ブームの中で特にもてはやされる「ヴィンテージ501」は、今後も高騰し続けるのでしょうか。

ここでは、リーバイス「501」のみに言及しますが、「505」とか「517」などの他の有名なLOT番号を持つジーンズ(デニムパンツではない)を除外するものではありません。

”アメリカに眠っていたヴィンテージデニムの価値にいち早く気づき、世界中にその魅力を広めたのは、日本人なのです。”

日本人が見出したヴィンテージの価値 教養としてのデニム」という書籍のアマゾンの商品ページには、上記のような説明文が宣伝文句として記載されています。

ワタクシはあいにく未読なのですが、LVC(リーバイス・ヴィンテージ・クロージング)誕生の物語なんぞを覗いても、似たようなお話しがございますから、オー、スゴイョ、ニッポンジン。

ジーンズやジャケットのデニムのエイジング=色落ちは、和の詫び錆び文化に通ずるものがあるんでしょうか。


さて、お約束の長い前置きに閉口したところで、今回の「501」を見てみましょう。

前回記事の1980年製の「501」に似た雰囲気ですね、であれば、ザ・80年代の「501」でしょうか。

左足側のアウトシームが前側に向かってねじれています。

ということは、80年代初期または70年代のセルビッジ(赤耳)を持つ「501」でしょうか。

赤タブは「Levi’s」(スモールe)、紙パッチには「Care ~」文字入り、内タグは残念ながら欠損しております。

ここまで見れば、マニヤさんはきっと自慢気にこう言うことでしょう。

あぁ、「66」(ロクロク)ね。

「色落ち」から言って「66」後期だろうね。

一応、トップボタン裏の刻印とバックポケット裏のステッチを見せてくれる?

やっぱりね、「6」刻印にバックポケット裏のステッチがチェーンステッチだから、「66」後期確定。

ははあぁ~、仰せの通り、ORG1976-501(66後期)でごぜーやす。

あの、赤耳は確認しなくてもよいんでしょうか?

(んなもん、見なくても分かるんだよ、このトーシローが!)

だそうです、アイスイマテン…。

さて、目の肥えた方なら、すぐに気づいたでしょうか。

実はこの「501」、テーパード加工がされているのです。

インシーム側で加工する方法もありますが、この「501」はアウトシームを解いてから詰めています。

仕上がりから見て素人さんの細工だと思いますが、外から見る分にはキレイに仕上がっています。

皆さんが大好きな、アウトシームのハシゴのようなアタリは期待できませんが。

ワタクシは、そもそもテーパードがかかったシルエットの方が好きなので(自分語り)、この加工を承知のうえで買ったわけです。

が、ですよ。

思っていたよりテーパードがキツイため、あ、あ、あし、足首が通りませんでした、残念!

残念と言えば、「501」の愛称です。

巷で定着しているいわゆる「501」の愛称が、本当に呆れるほどヒドイ。(筆者比)

そのため、ヴィンテージ初心者の「残念」が止まらない。(筆者調べ)

「501」の愛称年代嗚呼ぁ!勘違いのモデル青年の主張
「XX」(ダブルエックス)1946~196680年代後半から90年代の小文字の「xx」大文字だって先に言えよ。
「Big-E」(ビッグイー)1967~19722018年以降の「Big-E」付き「501」「Big-E」なんて、新品でそこら辺で沢山売ってるよ。
「66」(ロクロク)1973~1979LVCの1966モデル(66‐501)1970年代のジーンズが「66」とはこれ如何に?
一休さんの「とんち」ですか?
本家が1966年モデル(いわゆるダブルネーム)を「66‐501」と言ってるのに?
「赤耳」(アカミミ)1980~1986赤耳を持つ全ての「501」「赤耳」以前の501だって赤耳付いてるよね?
復刻の501や近年の企画ものも赤耳だらけなんだけど?
「USA製」1980~20021980年以前の「501」
最近のMade In The USAシリーズ
だ・か・ら、80年以前だって全部USA製だろうよ。
何でわざわざ「USA」なんてアルファベットにするの?
20年間の「501」を一括りにすな。

ワタクシ柴剣が、令和的最新イケてる愛称をご提案しましょう。

じゃん、これしかないでしょう。

相当メンドクサイね…

でも、「X」上なんかでは、オリジナルもLVCもごちゃ混ぜのぐちゃぐちゃの超カオス状態で、脳がバグりまくりですよ。

ちな、「Instagram」上では、1980年代以降の501は存在しない人が多くて、これはこれで、ね…。

旧呼称

新呼称
口 頭文 書(※「ORG」,「19」は省略してもいいよ)
「XX」(ダブルエックス)47(ヨンナナ)
54(ゴーヨン)
55(ゴーゴー)
ORG‐1947‐501(XX)
ORG-1954‐501(XX)
ORG-1955-501(XX)
「Big-E」(ビッグイー)66(ロクロク・ダブルネーム)
67(ロクナナ)
ORG-1966-501(Big-Eダブルネーム)
ORG-1967’s-501(Big-E)
「66」(ロクロク)71(ナナイチ)
73(ナナサン)
76(ナナロク)
ORG-1971-501(66Big-E)
ORG-1973-501(66前期)
ORG-1976-501(66後期)
「赤耳」(アカミミ)80(ハチマルミミツキ)ORG-1980-501(赤耳)
「USA製」80(ハチマルミミナシ)
87(ハチナナ)
93(キューサン)
ORG-1980-501(ハチマル)
ORG-1987-501(赤文字)
ORG-1993-501(米国最終)

※口頭での呼び名を追記しました。良い子のみなさんは、どしどし使ってね。(2024.10.11)
※見解によっては、年代の区別が細分化するかもしれません。例)1984‐501
※ORG=Original(オリジナル)、復刻・LVCの場合には、REPRO(reproduction)・LVCを付ける。まあ、ORGは省略しても良いけどね。
例)REPRO-1999-501(555)、LVC-1966’s-501
※()内は今までの愛称など。いわばダブルネームやね。
※口頭では、例えばORG-1971’s-501(66Big-E)の場合は「ナナイチ」のように言えばよいかな。ただ、2034年とか2046なんてアッと言う間に来るアルよ。


”アメリカに眠っていたヴィンテージデニムの価値にいち早く気づき、世界中にその魅力を広めた日本人”は、その後、ヴィンテージデニムをきちんと系統的に分類、体系づけしてきたのでしょうか。

ヴィンテージデニムの魅力は、日本国内のみならず、いまや世界的に広まっています。

その価値あるヴィンテージデニムを世界的に流通させるための「仕組み」を日本人は作ってきたのでしょうか。

日本国内の古着ビジネス界や愛好家が、その愛称・呼称の整理を始めとした誰にでも分かりやすい「仕組み」を作れば、日本が世界的なヴィンテージデニム市場でのイニシアチブを取り続けることも可能でしょう。(「ヴィンテージ501」の定義については、前回の記事をご参照ください。)

ヴィンテージリーバイスの多くが、まだ日本に存在する今だからこそ、やるべきなのです。(完全な他人事…)

ヴィンテージリーバイスに足を突っ込み始めた外国人や、日本の若人を取り込むためには、今、やるしかないのです。(何様?)

リーバイス「501」が「501」としてその価値を保持し続けている理由の一つは、誕生から150年経った2024年でもリーバイス社が「501」を製造販売し続けていることです。

「501」は、150年の歴史の中で、年代によって少しずつ変化してきました。

「501」を年代ごとに整理し、分かりやすい名称でラベリングし、その年代ごとの魅力を発信しましょう。

「ヴィンテージ501は〇〇まで」なんて小さいこと言ってないで、どーんと大きく構えましょうよ。

ハイ、みなさん、復唱しませふ。

「501」の魅力は、「原点にして頂点」なんかじゃない、

「501」の魅力は、「点にして通過点」だから!

※異論、反論、お待ちしております。


2024.10.4.雨の八ヶ岳山麓にて

 

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Posted by shiba-ken