リーバイス501のCareタグ(内タグ)・Careスタンプ(スレキスタンプ)の根拠と変遷

2025-09-23

1970年代以降のリーバイス501の年代判別に欠かせない「Careタグ」(内タグ)・「Careスタンプ」(スレキスタンプ)。

Careタグ・Careスタンプの文字列には、501が製造された年月の数字が含まれているからです。

Careタグ・Careスタンプは、いつ頃から、また何故に、501に存在することになったのでしょうか。

各年代の代表的なCareタグ・Careスタンプを確認しておきましょう。

⑴いわゆるスレキスタンプと呼ばれるフロントポケットの内袋部分にスタンプされたものです。(他にもいくつかのバリエーションあり)

「Hot wash, normal cycle. Color will bleed. Wash &(and) tumble alone. Waist & inseam shrink approx. 8%.」

高温、通常コースで洗濯してください。色落ちする場合があります。単独で洗濯し、タンブル乾燥してください。ウエストと股下は約8%縮みます。

⑵タグ形式となります。Careタグ最初期のモノで、文字列は⑴と同じです。(73-501=66のタグ)

⑶文字列の内容が変化します。(80-501のタグ)

「No soak – No hand wash – Hot wash w/detergent. Color transfer when new. Wash alone before wearing. Shrinks about 10%.」

つけ置き洗い不可。手洗い不可。洗剤を使って高温で洗ってください。新品時は色移りする場合があります。着用前に単独で洗ってください。約10%縮みます。

⑷-あ・い「Machine wash hot. Normal cycle. Tumble dry. Wash and dry with like colors. Shrinks approximately 10%.」(84-501)

洗濯機で高温洗いしてください。標準コースで洗濯してください。乾燥機で乾燥してください。同系色のものと一緒に洗濯・乾燥してください。約10%縮みます。

⑸文面の変更。(84-501)

「Machine wash hot. Normal cycle. Tumble dry. Wash and dry with like colors. Color may transfer when new. Wash before wearing. Shrinks approximately 10%.」

洗濯機で高温洗いしてください。標準コースで洗ってください。乾燥機で乾燥してください。同系色のものと一緒に洗濯・乾燥してください。新品時は色移りする場合があります。着用前に洗濯してください。約10%縮みます。

⑹タグの形状が変わります。文面は⑷-イと同じ(84-501後期~87-501前期)

⑺タグの様式が変更されます。文面は⑷-イと同じ(87-501のタグ)

⑻タグの様式も文面も変更されます。シンボルマークを追加。(93-501のタグ)

「Machine wash hot. Normal cycle. Only nonchlorine bleach if nedded. Tumble dry hot. Hot iron if needed. Wash and dry with like colors. Color may transfer when new. Wash before wearing. Shrinks approximately 10%.」

(洗濯機で高温洗いしてください。標準コースで洗ってください。必要に応じて非塩素系漂白剤のみ使用してください。高温でタンブル乾燥してください。必要に応じて高温アイロンをかけてください。同系色のものと一緒に洗濯・乾燥してください。新品時は色移りする場合があります。着用前に洗濯してください。約10%縮みます。)

*なお、内タグに記載の製造年月等の判読はこちらへ ☞ 80年代~90年代米国製リーバイス501レギュラーの年代判別方法

前置きが長くなりました。

Careラベル・Careタグについては、アメリカ合衆国連邦規則集(the Code of Federal Regulations)-アメリカ合衆国の行政法と位置付けられる法典-のPART 423に、「PART 423—CARE LABELING OF TEXTILE WEARING APPAREL AND CERTAIN PIECE GOODS AS AMENDED」として規定されています。(Careラベル規則)

…(a) 製造業者および輸入業者は、製品が消費者に販売される際に見えるように、または容易に見つけられるように、ケアラベルを貼付しなければならない。製品が包装、陳列、折り畳まれていて、顧客がラベルを見ることができない、または容易に見つけることができない場合、ケア情報は包装の外側または製品に固定された吊り下げタグにも表示されなければならない。
(b) ケアラベルには、製品の通常の使用においてどのような定期的なお手入れが必要かを記載しなければならない。一般に、繊維製衣料品のラベルには、洗濯に関する説明かドライクリーニングに関する説明のいずれかを記載しなければならない。洗濯方法を記載する場合は、本項(b)(1)に定める要件に従わなければならない。ドライクリーニングの指示が含まれている場合、本項(b)(2)に定める要件に従わなければならない。洗濯またはドライクリーニングのいずれかを製品に使用できる場合、ラベルにはこれらの指示の一方のみを記載すればよい。製品を傷めることなく、利用可能な洗浄方法で洗浄できない場合、ラベルにその旨を記載しなければならない。[例えば、洗濯とドライクリーニングの両方で製品に害がある場合、ラベルには「洗濯しないでください」「ドライクリーニングしないでください」「クリーニングできません」と記載することができる。] 洗濯とドライクリーニングの方法は以下の通りです。…

ケアラベル規則は、1971年12月16日に公布され、1972年7月3日に施行されました。

1972年7月3日時点で店頭に陳列されるリーバイス501には、Careラベルが貼付されていなければならかった。

Careタグ・Careスタンプは、遅くとも1972年7月3日、Careラベル規則というCareタグ等の貼付を義務付けた法令によりスタートしたのです。

上記掲載の⑴のスレキスタンプにはCare文は四角の線で囲われていますが、そのすぐ左下に「072 8 MODEL」の文字を確認することができます。

最初の「072」がいわゆる製造年月に当たると思われます。(なんと、施行の月と同じ!)

ただ、「052」「062」のような施行月より前の日付のスタンプもあることから、Careラベル規則の施行日までに既に製造された501には、施行日前からバンバンスタンプを押していったのだと思います。

その後、スタンプ方式は手間がかかると判断したのか、理由は定かではありませんが、スタンプではなく内タグの方式を採用することになりました。

(この辺の考察はまたの機会に。)

このCareラベル規則は、1983年年5月20日、6月3日に改正されて、新規則は1984年に発効となりました。

それに対応するCareタグが上記⑷以降の「Machine wash hot. 」から始まるCare文面なのでしょう。

1993年には各国では導入済みであった「洗濯シンボルマーク」が、アメリカ合衆国でも導入されることとなります。

これに対応したCareタグが上記⑻というわけなんですね。

アタマの中に沸いては消える、いつか書こうと思っている記事をアウトラインだけ書き殴っておきます。

細かい説明や肉付けは、後日ちまちまと追加していきます。(予定は未定)

とりあえず(完)


内タグの記載に関しての記事☟

80年代~90年代米国製リーバイス501レギュラーの年代判別方法

80sー90sリーバイス製品の内タグに表記されたアルファベット記号の秘密

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Posted by shiba-ken